メールマガジン2024年7月号
令和6年7月9日
【在セネガル日本大使館メールマガジン 2024/7/9 第26号】
◆ 目次 ◆
1 「広瀬真一臨時代理大使挨拶」
2 「大使館からのお知らせ」
3 「寄稿文」
4 「領事便り」
5 「政治・経済」
6 「広報・文化便り」
***********************
1 広瀬真一臨時代理大使挨拶
6月半ばから7月半ばにかけて伊澤大使が休暇で一時帰国中のため、本号では私からご挨拶申し上げます。
6月に入りダカールでも一度夜間にまとまった降雨があり、日中の暑さは厳しく雨期の訪れも感じます。他方でインフルエンザやコロナが流行りつつあるため、体調・健康管理には十分注意していただくようお願いします。
6月12日の夜に昨年と同様大劇場(Grand Theatre)でポルトガルの国祭日レセプションが開催され出席しました。もう1年も経ったのかなと手帳を確認すると、昨年は10月5日の開催でした。ポルトガルの国祭日を検索すると6月10日ですので、本来この時期に開催されるべきもので、1年前は治安情勢の悪化により延期されたのだと気付きました。昨年5月31日にPlace du Souvenir Africainで予定されていたアルゼンチンのレセプションは当日のデモ予告により中止となり、近い日取りのイタリアのレセプションも定めし中止か延期されるのではとの予想に反してこちらは実施されました。1年前の5月・6月は各国大使館の年間最大行事である国祭日レセプションの実施に影響が及ぶ程不安定な社会情勢でした。それに比べて、本年3月の大統領選挙に至る過程は混乱したものの、現在は普段通りのダカールに戻っています。因みに先の5月25日にはPlace du Souvenir Africainでアニメフェスティバル「祭り」が華々しく開催されました。また、6月9日には日本人会による運動会がコロナ禍後では初めて開催されました。
3月24日の大統領選挙で圧倒的な票を獲得し4月2日に就任したファイ大統領は、新政府の体制を固めつつ、モーリタニア、ガンビア、ギニアビサウ、コートジボワール、ナイジェリア、ガーナ、カーボベルデ、ギニア、ブルキナファソ、マリと近隣地域諸国を精力的に訪問し、6月20日前後にアフリカ以外では初めてパリを訪問し、ワクチン・イノベーションの世界フォーラムに出席するとともに、44歳の若いファイ大統領は同じく若い46歳のマクロン大統領と昼食を共に意見交換しました。6月21日の当地夜のニュースでは、ファイ大統領がパリ在住のアブドゥ・ジュフ第2代元大統領(任期:1981年1月~2000年4月、現在88歳)と面会する映像が流れました。私の初回セネガル在勤中(1990年7月~92年10月)の大統領で、背の高いファイ大統領よりさらに随分背の高いジュフ元大統領のお元気な姿が印象的でした。
そして、セネガルの初代大統領がレオポール・セダール・サンゴール大統領(任期:1960年9月~1980年12月)ですが、このサンゴール大統領の名前を冠したFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)により、ダカール南方沖合100kmのサンゴマール鉱区で、6月11日にセネガルで初めての石油生産が開始しました。私の30数年前のセネガル在勤中は、セネガルが産油国になるとは夢想だにしませんでした。サンゴマール鉱区の開発は、セネガル石油公社(PETROSEN)とのパートナーシップのもと豪州のウッドサイドエナジー社がオペレーターとして進めてきましたが、同社の発注によりこのFPSOを設計・建造したのは、豊富な経験を有する日本の三井海洋開発(株)であり、今後10年~20年にわたりFPSOの運転および保守点検業務を担います。また、欧州住友商事子会社のSCTSN社が油井管を納入し在庫管理しています。
2022年10月の再赴任以来、本年1月に行われたBRT(高速電気軌道バス)の開通記念セレモニーをはじめセネガルの発展に目を見張る機会がいろいろありましたが、セネガルの歴史に深く刻まれる石油生産の開始を目の当たりにできたことに格別な喜びを感じます。しかも、石油生産プロセスの中枢であるFPSOの建造と運転および保守点検業務が日本企業に委ねられていることは、日本人として誇らしく、二国間関係・経済交流の推進に携わる立場にて欣快に堪えません。セネガル国民の大きな期待を受けて、石油生産の心臓の役割を果たすのがFPSOであり、大動脈の役割を果たすのが油井管であり、石油生産を象徴的に表すイメージとしてはやはりFPSOの画像をおいて他にありません。
それからメルマガ5月号の伊澤大使挨拶で紹介した、経済特区を擁し日本企業の進出招致に熱心でとても親日的なサンジャラ市のジョップ前市長が新政権の産業商業大臣に就任してからは、ニュース番組等に映像で或いは生出演で登場することも増え、6月24日に精製パーム油、普通砕米、グラニュー糖、小麦粉、パン等基礎食糧の上限価格を設定する法令を発令し、値下げの責任を担う大臣として一躍時の人となっています。
8月には東京でTICAD閣僚会合が開催され、来年のTICAD9に向けて今後セネガルでも益々両国間の経済交流や開発協力が拡大発展していく手ごたえを感じつつさらに願ってやまない毎日です。
2 大使館からのお知らせ
○2024年7月、8月の休館日のお知らせ
7月17日 ※イスラム新年
8月15日 聖母昇天祭
8月23日 ※マガル
※イスラム教の休日のため変更の可能性あり。
3 寄稿 ~細谷博己 コマツ・セネガル事務所~
この度大使館メールマガジン2024年7月号への寄稿の依頼を頂きました。この場をお借りして私自身について、とコマツのセネガルでの活動についてご紹介させて頂きます。
私は2020年の4月にセネガル赴任を拝命しましたが、その後3月からの新型コロナウイルスの蔓延に中々赴任が出来ませんでした故、2020年12月に当地に着任し、現在約3年半が経過したところです。
小職が弊社に入ったきっかけは自分が学生時代にバックパッカーなどで訪れた国々で弊社の車両が稼働しているのを見て「新興国の経済発展にビジネスで貢献したい!」という夢と「日本企業でグローバルにビジネスをしたい!」という漠然とした思いから入社をしました。入社後は国内販売代理店で国内業務に従事した後に、海外部門業務に移動し念願の新興国担当としてアフリカを担当するようになりました。
当地への赴任前の2018年に初めてセネガルに出張に来た際には、道中で馬車が上り坂を必死に登ろうとしている光景を目にした際に「これぞ自分が求めていたアフリカ!!」という今考えると謎(?)の感動をして一生懸命写真を撮っている自分を前任の所長から冷たい目で見られていた事を今でも覚えています。今なら彼の気持ちは痛いほど分かります。
そんな私自身はセネガルが初の海外駐在員としての生活であり、恥ずかしながら仏語能力ゼロの状況で赴任しており、本当にこの先やっていけるのだろうかと一抹の不安を持ちながら赴任した頃を懐かしく思います。
しかしそんな自分の不安は主に2つ自分の中でいい意味でのサプライズで裏切られる事となりました。
1つはセネガルの人々の国民性です。
自分は赴任前には恥ずかしながらセネガルと言えばサッカーしか知りませんでした。「いつもやたらとワールドカップで試合するな」とか、「サディオ・マネすごいな」程度の感想しか持っていない無知な状況で赴任をしました。
しかし当地で目にしたのは(むしろ迷惑なほどに)親切な人々と、常に笑顔と活気に溢れた人々でした。
フランス語が分からないのにやたらと話しかけてきたり、街では何かトラブルがあれば助けようとするお節介な人たちで渋滞するし、どこかに移動するためにタクシーに乗れば行先を知らないのに知ったかぶりしてから街の人に道を聞いて解決したり、そんな例を挙げればきりがありませんがいつもそこには人々の笑顔がありました。
もう1つはセネガルの人たちが持つ日本人へのイメージです。
私の中でアフリカの最西端のセネガルは日本から物理的にも非常に遠く、仏語圏という事もあり日本にいた当時には情報を手に入れるのもかなり難しい地域でした。しかし実際に当地に赴任してみて驚いた事は「セネガルの人達が持つ日本人に対しての好印象」です。
当地では日々街を歩けば「シノワ!」、「ニイハオ!」と中国人と思われて挨拶をされます。赴任当時の自分はそれを受けていかにアフリカにおける中国の影響力が強いのかを実感していました。
しかしある時、自分が日本人だと説明した時に、彼らがいかに日本について知っているのかといった説明をしてくれたり、好きなアニメや歌の話を伝えようと一生懸命コミュニケーションを取ろうしてくれる姿にビックリした事を覚えています。
また私はコマツの駐在員としてお客様等と話す際に、弊社の事は知らなくても我々が「日本企業」であると説明した際の相手からの信頼感や、好印象は本当に驚きでした。
これは歴代のセネガルとの友好関係に努めて頂いた日本人社会が築いてきた信頼関係だと思っております。
また、同時にセネガルの人々からにはいつも「希望」の重要性を教わっています。
私は昭和の高度成長時代を知らず、「失われた何十年」と呼ばれる日本の低成長時代しか知らない世代です。
いつも「昔はよかった」という大先輩たちの話を(特に宴席の後半で、自分の瞼を必死に重力の法則に負けないよう抵抗させながら)昔話のように聞いていましたが、このセネガルに来て感じている事は彼らが話す「昔(=不便や非合理的な事が溢れかえっていたとしても、世の中に成長への希望があった時代)は良かった」というのはこういう状況ではなかったのかという事です。
私は当地に来てそんな環境にいるセネガルの人々に対して羨望の眼差しを持つと共に、常に日々の生活に希望を持つことの重要性を学んでいます。
またそんな感情を抱いてしまう自分と、宴席でいつも長々と話をしてしまう自分が令和の時代に平成の時代を飛び越えた「昭和おじさん」になりつつあるという事実にもふと気付き愕然としています。
さて私の所属するコマツは、セネガルに2009年に事務所を設置し、約15年間活動を行ってきました。弊社は建設鉱山機械いわゆる「はたらくクルマ」を取り扱う総合建機メーカで、幣事務所はセネガルから西アフリカ(主に仏語圏)を広域で管轄しております。
建設、鉱山機械は車両売って終わりではなく、お客様に事業で使って頂くため納入後のサポートやメンテナンスがより重要になります。
我々が当地に駐在している意味は現地で「はたらく」クルマについて日本にいては分からない現地の問題や、事業発展のためのアイディア、現地の生の声を伝える事であり、日々新たな驚きや気づきを楽しみながら業務を行っております。
アフリカはまだまだ発展途上国で現在の弊社での売上構成比としては非常に少ないですが、今後のポテンシャルという観点から今後重要度が高まっていくものと確信しておりその成長の一端を現地で担えるやりがいを感じております。
また弊社が現在セネガルで注力している案件の一つが南部カザマンス地方における地雷除去プロジェクトです。
現在日本大使館の皆様のご協力の元案件形成に向けて活動させて頂いており、個人的には同案件を通じて今まで歴代の日本人の皆様が培ってきた日本への信頼を一層強固にする事に貢献したいと考えております。
また本プロジェクトを通じて自分が学生時代に夢見た「ビジネスを通じて新興国の発展に貢献したい」という想いや、私が当地に来て大好きになった「セネガルの人々に対して何か恩返しをしたい」という想いも本案件の実現に向けたモチベーションとなっております。
最後になりますが雨季も始まり、日々暑さも増してきておりますが皆様の益々のご発展と健康を祈念して本寄稿を締めくくりたいと思います。
4 領事便り
○ ひったくり事案の発生について
6月11日(火)13時頃、ダカール市内コルニッシュ通り上を渋滞で停車中のタクシー車内において、被害者が操作中のスマートフォンを若い外国人男性が徒歩で近づき半開きの後部窓から手を差し入れ首から掛けていたスマートフォンを窃取される事案が発生しています。タバスキを契機としたものかどうかは判然としませんが邦人に限らず我々外国人は常にターゲットになり得ることを忘れることなく改めて以下の点に注意してください。
・貴重品は常に目の届く範囲に置く
・道路側に手荷物を持たない
・可能な限り複数で行動する(特に夜間)
・車内の窓は開放しない
・二人乗りのバイクには特に注意する
・無理に取り返そうとしない(負傷する可能性があります)
5 政治・経済
○令和4年度対ギニアビサウ草の根・人間の安全保障無償資金協力「オイオ州・カチェウ州6村落における野菜農場整備計画」引渡し式
6月24日、ギニアビサウ共和国オイオ州ンジョコテ村にて、令和4年度対ギニアビサウ草の根・人間の安全保障無償資金協力「オイオ州・カチェウ州6村落における野菜農場整備計画」引渡し式が行われました。
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01468.html
○石油生産を記念する祝賀レセプションへの出席
6月25日、広瀬参事官は、セネガル初の石油生産を記念する祝賀レセプションに、FPSO建造し今後の運行を行う三井海洋開発株式会社の宮田裕彦社長と出席しました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02pwKxQjoiHEtUPDCXa7dgfHU69yzNR3VJeoW4ZhMeSYk4JbSEGu9CibtK4zThGwYrl&id=100078921276471
○海上自衛隊練習艦隊のダカール寄港
7月20日から海上自衛隊の練習艦「かしま」と「しまかぜ」が、令和6年度遠洋練習航海の一環でダカール港に寄港し、これに際し3つの行事が開催される予定です。行事の参加登録は終了いたしました。参加登録がお済みの方はイベントをお楽しみください。
○JETROアフリカ・オンラインセミナー:「現地の今」をジェトロ駐在員がレポート
6月よりJETROがアフリカ・オンラインセミナーを実施しています。第6回(7月23日)では、セネガル編が予定されていますので、関心がある方は参加をご検討ください。
【詳細】
https://www.jetro.go.jp/events/odd/4c69ef28b8f83907.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR2d7WmB3m7ZjFnak_84T28QgN8M20UBwfuQOMDnfpXyRBK9uf9FzwFLiJ0_aem_vo7HFfPEkvKFeYo7Z0YPLg
○JETROアフリカビジネスデスク
ジェトロ(日本貿易振興機構)は、アフリカでの事業展開を目指す法人及びアフリカですでに事業を展開している法人を対象に相談サービスを提供しています。
対象国は20か国で、セネガルも対象国に含まれていますので、活用をご検討ください。
【詳細】
https://www.jetro.go.jp/services/africa_bizdesk.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR3vePD6Ntz0xjeO_a3yCxw3b_An2F6r7apxSQiUKG-mzCYiKcNYm7xnQmc_aem_fgnxm1eyZLBAn6WZF5me2A
○当館が所掌する4か国(セネガル、カーボベルデ、ガンビア、ギニアビサウ)の政治経済関連の一般情報は、毎月上旬に当館のHP「セネガル基礎情報」及び「新着情報」に「在セネガル大使館月例報告」として掲載しております。ご関心のある方は以下のリンクをご参照ください。
(参考)月例報告:https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01078.html
6 広報・文化便り
○大使公邸のプール開き
6月8日、在留邦人の福利厚生充実の一環で、補習授業校の子どもたちに公邸のプール開きを実施しました。多くの方に参加いただきました。
○日本人会・補習校の運動会の開催
6月9日、セネガル日本人会の主催で運動会が開催されました。多くの在留邦人が参加し、とても盛り上がりました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02ns63NqUwz3Tt9SFn5aGcvhZPVXa228YfNMwZ5t9PDjHsY2V6sBLV1GEfhPxBnqpHl&id=100078921276471
○当館では、日本関連行事に関する情報を随時募集しております。皆様ご自身が実施される日本関連行事のほか、知り合いの方のご活動等についての情報を( mailmagazine-sn@dk.mofa.go.jp )までお知らせください。毎月末までに原稿をいただければ翌月のメールマガジンに掲載することができます。当館HPやSNSへの掲載は随時行います。
○当館SNSでは、セネガルで開催されるイベントの告知や当館の活動報告を行っています。他にもたくさんのコンテンツがありますので、定期的にアクセスしてみてください。また、日・セネガル関係強化のため、ご関心のある投稿のRTやシェア等、皆さまのご協力をぜひお願いいたします。
TW:https://twitter.com/JapanEmbSenegal
FB:https://www.facebook.com/profile.php?id=100078921276471
Instagram:https://www.instagram.com/japanembsenegal/
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[在セネガル日本大使館メールマガジン]
○本メールマガジンに関するご意見・ご要望は以下のメールアドレスあてに送信してください。新規配信登録のご希望もこちらまでお寄せください。
( mailmagazine-sn@dk.mofa.go.jp )
○参考ホームページ
首相官邸ホームページ ( www.kantei.go.jp )
外務省ホームページ ( www.mofa.go.jp/mofaj/ )
当館ホームページ ( https://www.sn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html )
○発行:在セネガル日本大使館
Ambassade du Japon au Senegal
Boulevard Martin Luther King, Dakar, Senegal (B.P. 3140)
TEL :(+221)33.849.55.00
FAX :(+221) 33.849.55.55
◆ 目次 ◆
1 「広瀬真一臨時代理大使挨拶」
2 「大使館からのお知らせ」
3 「寄稿文」
4 「領事便り」
5 「政治・経済」
6 「広報・文化便り」
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1 広瀬真一臨時代理大使挨拶
6月半ばから7月半ばにかけて伊澤大使が休暇で一時帰国中のため、本号では私からご挨拶申し上げます。
6月に入りダカールでも一度夜間にまとまった降雨があり、日中の暑さは厳しく雨期の訪れも感じます。他方でインフルエンザやコロナが流行りつつあるため、体調・健康管理には十分注意していただくようお願いします。
6月12日の夜に昨年と同様大劇場(Grand Theatre)でポルトガルの国祭日レセプションが開催され出席しました。もう1年も経ったのかなと手帳を確認すると、昨年は10月5日の開催でした。ポルトガルの国祭日を検索すると6月10日ですので、本来この時期に開催されるべきもので、1年前は治安情勢の悪化により延期されたのだと気付きました。昨年5月31日にPlace du Souvenir Africainで予定されていたアルゼンチンのレセプションは当日のデモ予告により中止となり、近い日取りのイタリアのレセプションも定めし中止か延期されるのではとの予想に反してこちらは実施されました。1年前の5月・6月は各国大使館の年間最大行事である国祭日レセプションの実施に影響が及ぶ程不安定な社会情勢でした。それに比べて、本年3月の大統領選挙に至る過程は混乱したものの、現在は普段通りのダカールに戻っています。因みに先の5月25日にはPlace du Souvenir Africainでアニメフェスティバル「祭り」が華々しく開催されました。また、6月9日には日本人会による運動会がコロナ禍後では初めて開催されました。
3月24日の大統領選挙で圧倒的な票を獲得し4月2日に就任したファイ大統領は、新政府の体制を固めつつ、モーリタニア、ガンビア、ギニアビサウ、コートジボワール、ナイジェリア、ガーナ、カーボベルデ、ギニア、ブルキナファソ、マリと近隣地域諸国を精力的に訪問し、6月20日前後にアフリカ以外では初めてパリを訪問し、ワクチン・イノベーションの世界フォーラムに出席するとともに、44歳の若いファイ大統領は同じく若い46歳のマクロン大統領と昼食を共に意見交換しました。6月21日の当地夜のニュースでは、ファイ大統領がパリ在住のアブドゥ・ジュフ第2代元大統領(任期:1981年1月~2000年4月、現在88歳)と面会する映像が流れました。私の初回セネガル在勤中(1990年7月~92年10月)の大統領で、背の高いファイ大統領よりさらに随分背の高いジュフ元大統領のお元気な姿が印象的でした。
そして、セネガルの初代大統領がレオポール・セダール・サンゴール大統領(任期:1960年9月~1980年12月)ですが、このサンゴール大統領の名前を冠したFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)により、ダカール南方沖合100kmのサンゴマール鉱区で、6月11日にセネガルで初めての石油生産が開始しました。私の30数年前のセネガル在勤中は、セネガルが産油国になるとは夢想だにしませんでした。サンゴマール鉱区の開発は、セネガル石油公社(PETROSEN)とのパートナーシップのもと豪州のウッドサイドエナジー社がオペレーターとして進めてきましたが、同社の発注によりこのFPSOを設計・建造したのは、豊富な経験を有する日本の三井海洋開発(株)であり、今後10年~20年にわたりFPSOの運転および保守点検業務を担います。また、欧州住友商事子会社のSCTSN社が油井管を納入し在庫管理しています。
2022年10月の再赴任以来、本年1月に行われたBRT(高速電気軌道バス)の開通記念セレモニーをはじめセネガルの発展に目を見張る機会がいろいろありましたが、セネガルの歴史に深く刻まれる石油生産の開始を目の当たりにできたことに格別な喜びを感じます。しかも、石油生産プロセスの中枢であるFPSOの建造と運転および保守点検業務が日本企業に委ねられていることは、日本人として誇らしく、二国間関係・経済交流の推進に携わる立場にて欣快に堪えません。セネガル国民の大きな期待を受けて、石油生産の心臓の役割を果たすのがFPSOであり、大動脈の役割を果たすのが油井管であり、石油生産を象徴的に表すイメージとしてはやはりFPSOの画像をおいて他にありません。
それからメルマガ5月号の伊澤大使挨拶で紹介した、経済特区を擁し日本企業の進出招致に熱心でとても親日的なサンジャラ市のジョップ前市長が新政権の産業商業大臣に就任してからは、ニュース番組等に映像で或いは生出演で登場することも増え、6月24日に精製パーム油、普通砕米、グラニュー糖、小麦粉、パン等基礎食糧の上限価格を設定する法令を発令し、値下げの責任を担う大臣として一躍時の人となっています。
8月には東京でTICAD閣僚会合が開催され、来年のTICAD9に向けて今後セネガルでも益々両国間の経済交流や開発協力が拡大発展していく手ごたえを感じつつさらに願ってやまない毎日です。
2 大使館からのお知らせ
○2024年7月、8月の休館日のお知らせ
7月17日 ※イスラム新年
8月15日 聖母昇天祭
8月23日 ※マガル
※イスラム教の休日のため変更の可能性あり。
3 寄稿 ~細谷博己 コマツ・セネガル事務所~
この度大使館メールマガジン2024年7月号への寄稿の依頼を頂きました。この場をお借りして私自身について、とコマツのセネガルでの活動についてご紹介させて頂きます。
私は2020年の4月にセネガル赴任を拝命しましたが、その後3月からの新型コロナウイルスの蔓延に中々赴任が出来ませんでした故、2020年12月に当地に着任し、現在約3年半が経過したところです。
小職が弊社に入ったきっかけは自分が学生時代にバックパッカーなどで訪れた国々で弊社の車両が稼働しているのを見て「新興国の経済発展にビジネスで貢献したい!」という夢と「日本企業でグローバルにビジネスをしたい!」という漠然とした思いから入社をしました。入社後は国内販売代理店で国内業務に従事した後に、海外部門業務に移動し念願の新興国担当としてアフリカを担当するようになりました。
当地への赴任前の2018年に初めてセネガルに出張に来た際には、道中で馬車が上り坂を必死に登ろうとしている光景を目にした際に「これぞ自分が求めていたアフリカ!!」という今考えると謎(?)の感動をして一生懸命写真を撮っている自分を前任の所長から冷たい目で見られていた事を今でも覚えています。今なら彼の気持ちは痛いほど分かります。
そんな私自身はセネガルが初の海外駐在員としての生活であり、恥ずかしながら仏語能力ゼロの状況で赴任しており、本当にこの先やっていけるのだろうかと一抹の不安を持ちながら赴任した頃を懐かしく思います。
しかしそんな自分の不安は主に2つ自分の中でいい意味でのサプライズで裏切られる事となりました。
1つはセネガルの人々の国民性です。
自分は赴任前には恥ずかしながらセネガルと言えばサッカーしか知りませんでした。「いつもやたらとワールドカップで試合するな」とか、「サディオ・マネすごいな」程度の感想しか持っていない無知な状況で赴任をしました。
しかし当地で目にしたのは(むしろ迷惑なほどに)親切な人々と、常に笑顔と活気に溢れた人々でした。
フランス語が分からないのにやたらと話しかけてきたり、街では何かトラブルがあれば助けようとするお節介な人たちで渋滞するし、どこかに移動するためにタクシーに乗れば行先を知らないのに知ったかぶりしてから街の人に道を聞いて解決したり、そんな例を挙げればきりがありませんがいつもそこには人々の笑顔がありました。
もう1つはセネガルの人たちが持つ日本人へのイメージです。
私の中でアフリカの最西端のセネガルは日本から物理的にも非常に遠く、仏語圏という事もあり日本にいた当時には情報を手に入れるのもかなり難しい地域でした。しかし実際に当地に赴任してみて驚いた事は「セネガルの人達が持つ日本人に対しての好印象」です。
当地では日々街を歩けば「シノワ!」、「ニイハオ!」と中国人と思われて挨拶をされます。赴任当時の自分はそれを受けていかにアフリカにおける中国の影響力が強いのかを実感していました。
しかしある時、自分が日本人だと説明した時に、彼らがいかに日本について知っているのかといった説明をしてくれたり、好きなアニメや歌の話を伝えようと一生懸命コミュニケーションを取ろうしてくれる姿にビックリした事を覚えています。
また私はコマツの駐在員としてお客様等と話す際に、弊社の事は知らなくても我々が「日本企業」であると説明した際の相手からの信頼感や、好印象は本当に驚きでした。
これは歴代のセネガルとの友好関係に努めて頂いた日本人社会が築いてきた信頼関係だと思っております。
また、同時にセネガルの人々からにはいつも「希望」の重要性を教わっています。
私は昭和の高度成長時代を知らず、「失われた何十年」と呼ばれる日本の低成長時代しか知らない世代です。
いつも「昔はよかった」という大先輩たちの話を(特に宴席の後半で、自分の瞼を必死に重力の法則に負けないよう抵抗させながら)昔話のように聞いていましたが、このセネガルに来て感じている事は彼らが話す「昔(=不便や非合理的な事が溢れかえっていたとしても、世の中に成長への希望があった時代)は良かった」というのはこういう状況ではなかったのかという事です。
私は当地に来てそんな環境にいるセネガルの人々に対して羨望の眼差しを持つと共に、常に日々の生活に希望を持つことの重要性を学んでいます。
またそんな感情を抱いてしまう自分と、宴席でいつも長々と話をしてしまう自分が令和の時代に平成の時代を飛び越えた「昭和おじさん」になりつつあるという事実にもふと気付き愕然としています。
さて私の所属するコマツは、セネガルに2009年に事務所を設置し、約15年間活動を行ってきました。弊社は建設鉱山機械いわゆる「はたらくクルマ」を取り扱う総合建機メーカで、幣事務所はセネガルから西アフリカ(主に仏語圏)を広域で管轄しております。
建設、鉱山機械は車両売って終わりではなく、お客様に事業で使って頂くため納入後のサポートやメンテナンスがより重要になります。
我々が当地に駐在している意味は現地で「はたらく」クルマについて日本にいては分からない現地の問題や、事業発展のためのアイディア、現地の生の声を伝える事であり、日々新たな驚きや気づきを楽しみながら業務を行っております。
アフリカはまだまだ発展途上国で現在の弊社での売上構成比としては非常に少ないですが、今後のポテンシャルという観点から今後重要度が高まっていくものと確信しておりその成長の一端を現地で担えるやりがいを感じております。
また弊社が現在セネガルで注力している案件の一つが南部カザマンス地方における地雷除去プロジェクトです。
現在日本大使館の皆様のご協力の元案件形成に向けて活動させて頂いており、個人的には同案件を通じて今まで歴代の日本人の皆様が培ってきた日本への信頼を一層強固にする事に貢献したいと考えております。
また本プロジェクトを通じて自分が学生時代に夢見た「ビジネスを通じて新興国の発展に貢献したい」という想いや、私が当地に来て大好きになった「セネガルの人々に対して何か恩返しをしたい」という想いも本案件の実現に向けたモチベーションとなっております。
最後になりますが雨季も始まり、日々暑さも増してきておりますが皆様の益々のご発展と健康を祈念して本寄稿を締めくくりたいと思います。
4 領事便り
○ ひったくり事案の発生について
6月11日(火)13時頃、ダカール市内コルニッシュ通り上を渋滞で停車中のタクシー車内において、被害者が操作中のスマートフォンを若い外国人男性が徒歩で近づき半開きの後部窓から手を差し入れ首から掛けていたスマートフォンを窃取される事案が発生しています。タバスキを契機としたものかどうかは判然としませんが邦人に限らず我々外国人は常にターゲットになり得ることを忘れることなく改めて以下の点に注意してください。
・貴重品は常に目の届く範囲に置く
・道路側に手荷物を持たない
・可能な限り複数で行動する(特に夜間)
・車内の窓は開放しない
・二人乗りのバイクには特に注意する
・無理に取り返そうとしない(負傷する可能性があります)
5 政治・経済
○令和4年度対ギニアビサウ草の根・人間の安全保障無償資金協力「オイオ州・カチェウ州6村落における野菜農場整備計画」引渡し式
6月24日、ギニアビサウ共和国オイオ州ンジョコテ村にて、令和4年度対ギニアビサウ草の根・人間の安全保障無償資金協力「オイオ州・カチェウ州6村落における野菜農場整備計画」引渡し式が行われました。
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01468.html
○石油生産を記念する祝賀レセプションへの出席
6月25日、広瀬参事官は、セネガル初の石油生産を記念する祝賀レセプションに、FPSO建造し今後の運行を行う三井海洋開発株式会社の宮田裕彦社長と出席しました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02pwKxQjoiHEtUPDCXa7dgfHU69yzNR3VJeoW4ZhMeSYk4JbSEGu9CibtK4zThGwYrl&id=100078921276471
○海上自衛隊練習艦隊のダカール寄港
7月20日から海上自衛隊の練習艦「かしま」と「しまかぜ」が、令和6年度遠洋練習航海の一環でダカール港に寄港し、これに際し3つの行事が開催される予定です。行事の参加登録は終了いたしました。参加登録がお済みの方はイベントをお楽しみください。
○JETROアフリカ・オンラインセミナー:「現地の今」をジェトロ駐在員がレポート
6月よりJETROがアフリカ・オンラインセミナーを実施しています。第6回(7月23日)では、セネガル編が予定されていますので、関心がある方は参加をご検討ください。
【詳細】
https://www.jetro.go.jp/events/odd/4c69ef28b8f83907.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR2d7WmB3m7ZjFnak_84T28QgN8M20UBwfuQOMDnfpXyRBK9uf9FzwFLiJ0_aem_vo7HFfPEkvKFeYo7Z0YPLg
○JETROアフリカビジネスデスク
ジェトロ(日本貿易振興機構)は、アフリカでの事業展開を目指す法人及びアフリカですでに事業を展開している法人を対象に相談サービスを提供しています。
対象国は20か国で、セネガルも対象国に含まれていますので、活用をご検討ください。
【詳細】
https://www.jetro.go.jp/services/africa_bizdesk.html?fbclid=IwZXh0bgNhZW0CMTEAAR3vePD6Ntz0xjeO_a3yCxw3b_An2F6r7apxSQiUKG-mzCYiKcNYm7xnQmc_aem_fgnxm1eyZLBAn6WZF5me2A
○当館が所掌する4か国(セネガル、カーボベルデ、ガンビア、ギニアビサウ)の政治経済関連の一般情報は、毎月上旬に当館のHP「セネガル基礎情報」及び「新着情報」に「在セネガル大使館月例報告」として掲載しております。ご関心のある方は以下のリンクをご参照ください。
(参考)月例報告:https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01078.html
6 広報・文化便り
○大使公邸のプール開き
6月8日、在留邦人の福利厚生充実の一環で、補習授業校の子どもたちに公邸のプール開きを実施しました。多くの方に参加いただきました。
○日本人会・補習校の運動会の開催
6月9日、セネガル日本人会の主催で運動会が開催されました。多くの在留邦人が参加し、とても盛り上がりました。
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02ns63NqUwz3Tt9SFn5aGcvhZPVXa228YfNMwZ5t9PDjHsY2V6sBLV1GEfhPxBnqpHl&id=100078921276471
○当館では、日本関連行事に関する情報を随時募集しております。皆様ご自身が実施される日本関連行事のほか、知り合いの方のご活動等についての情報を( mailmagazine-sn@dk.mofa.go.jp )までお知らせください。毎月末までに原稿をいただければ翌月のメールマガジンに掲載することができます。当館HPやSNSへの掲載は随時行います。
○当館SNSでは、セネガルで開催されるイベントの告知や当館の活動報告を行っています。他にもたくさんのコンテンツがありますので、定期的にアクセスしてみてください。また、日・セネガル関係強化のため、ご関心のある投稿のRTやシェア等、皆さまのご協力をぜひお願いいたします。
TW:https://twitter.com/JapanEmbSenegal
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[在セネガル日本大使館メールマガジン]
○本メールマガジンに関するご意見・ご要望は以下のメールアドレスあてに送信してください。新規配信登録のご希望もこちらまでお寄せください。
( mailmagazine-sn@dk.mofa.go.jp )
○参考ホームページ
首相官邸ホームページ ( www.kantei.go.jp )
外務省ホームページ ( www.mofa.go.jp/mofaj/ )
当館ホームページ ( https://www.sn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html )
○発行:在セネガル日本大使館
Ambassade du Japon au Senegal
Boulevard Martin Luther King, Dakar, Senegal (B.P. 3140)
TEL :(+221)33.849.55.00
FAX :(+221) 33.849.55.55