メールマガジン2025年11月号
令和7年11月5日
【在セネガル日本大使館メールマガジン 2025/11/5 第42号】
◆ 目次 ◆
1 「八田善明在セネガル大臨時代理大使挨拶」
2 「大使館からのお知らせ」
3 「領事便り」
4 「大使館の活動報告」
***********************
1 八田善明在セネガル大臨時代理大使挨拶
在セネガル大使館で今年の3月15日から次席を務めております八田善明(はった よしあき)と申します。今回は、赤松大使不在中の代打を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めての方も多いと思いますので、ごく簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、平成3年に外務省に入省してから、在外公館は、専らフランス語圏に赴任して参りました。直近は、ブルキナファソ大に3年間、その前は、東京(本省=外務省)勤務を挟んで、ハイチ、カナダ(モントリオール)等となります。
セネガルは、出張も含めて今回が文字どおり初めての赴任・滞在となります。直近のブルキナファソが内陸国かつ治安状況もあまり良くなかったため、セネガル、ダカールでは広がる海の景色を含め、生活上の「開放感」が大きく改善しました。私自身は、必ずしも海派ではないものの、季節や、一日の間にも刻々と海の色が群青色、青、ミルキーなエメラルドグリーン等グラデーションを持ちながら変わっていくのを仕事の合間に見られるのは楽しく、かつありがたく感じています。
色々とある中で、今回は着任後のセットアップ期間等も含めて感じたことの一つを御紹介します。国によって商業的なお付き合いのある国は当然のことながらまちまちですが、ここセネガルではどうなっているのか、静かに見てみると、それはそれで面白そうです。フランスや欧米系は当然のことながら、やはり中国が日用品等でしっかり市場に入っているのはあまり意外ではありませんでした。このほか、インド系のプレゼンスは、かつては東アフリカのものと思っていましたら、実は西アフリカにおいても随分と広がっているのだなと改めて感じました。日用品のスーパーに始まり、高級ホテルやインフラ、宝飾、(生活面ではないですが)資源開発等までと幅は広そうです。そして、ほぼ避けて通れないのがレバノン系でしょうか。フェニキア商人のノウハウとネットワークを駆使して、日用品、スーパー等の小売りから始まって、テキスタイル、建築資材、建築業とこちらも流通と切っても切れない重要な分野に根を下ろしている感じです。着任してすぐに家庭用品を買いに何度も足繁く通った生活用品・家具のデパート等や、フランス系のおしゃれなパン屋やレストラン等のオーナーの多くはレバノン系の由です。聞けば、同人らは既に世代交代もして次のジェネレーションに移行しているとのことで、より深くセネガル経済に根ざしているということと思われます。
ほかにもトルコ系やUAE、歴史的繋がりがあるモロッコ等もあり、さらにはセネガルの食事に欠かせないパーム油の多くはマレーシアから輸入されているとのことで、その広がりは思ったより裾野が広いものでした。皆様も、日々色々と発見があるかと存じますが、ダカールだけをとっても、とても奥が深そうですので今後もどんな発見があるか楽しみにしています。
次に、少し真面目な話もしますと、前任地がブルキナファソ(ワガドゥグ)であったこともあり、所謂サヘル地域の情勢とセネガルを含めたその近隣国との関係は引き続き気になっています。サヘル地域では、大きなテロリスト組織がその影響力の拡大を進めていることは耳にされたこともあろうかと思います。このほか、地政学的な情勢も含めて政治的には複雑かつ厳しい状況(軍事政権)が続いています。マリ共和国は、アルカイダ系テロ組織の独自版である「イスラムとムスリムの守護者(JNIM)」の発祥の地で、徐々に強大になり、首都バマコの包囲網の構築、それも物流の供給路を遮断する等の戦略を展開しています。彼らは緻密に色々と計算し、戦略的に駒を進めるのでとてもやっかいです。既に、テロ組織vs違法な武装組織を取り締まる治安部隊(政権)、という単純な悪玉対善玉という構図でもなくなって久しく、状況をさらに複雑化させています。
その影響力はマリ国内だけでなく、隣国のブルキナファソやニジェール、そして南下してギニア湾岸諸国の北部を脅かしている状況となっています。御承知のとおり、マリは412Kmの国境線を共有するセネガルの隣国です。しかも、単なる隣国ではなく、海に開けたセネガルから内陸のマリへ繋ぐ幹線道路を通じて、年間数百万トンもの物資が届けられており、マリが海上輸送にて輸入する物資の8割近くがダカール港経由とも言われている等、経済社会的にはかなりの依存度になっています。最近ニュースでも見かけるバマコへの物流(燃料等)が大きく制約を受けているのが、正に、このセネガルと繋がる「大動脈」をマリ側でJNIMにより遮断されてしまった状況という、大変な事態ということがお解りいただけるかと思います。
今後を見通すのは難しいですが、このテロリストらは、引き続きバマコへの兵糧攻めも含めてバマコ=マリ軍事政権に圧力をかけ続けることが想定され、徐々に自分達の政治的立ち位置の向上を模索するのではないかとみられます。同時に、徐々にマリ国境からセネガル側へ越境浸透して影響力を拡大することも排除されないと言えます。そのため、セネガル側においても今後はさらに対策の強化等が必須になると思われます。
そうした状況を考えますと、我々としても、さすがに首都ダカールまでの影響はほとんど無いとしても、マリ国境近辺は、今後も治安状況上不安定になること、そして国境のマリ側には近くまでテロリストが進出してきていることに留意しながら十分に予防的な危機管理感覚を持って過ごす(危なきに近寄らず)必要がありそうです。マリ国境付近は、もともと海外危険情報上も勧告が発出されている地域となりますが、皆様におかれましてもくれぐれも御注意いただけますと幸いです。
長々と最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、引き続き、当館のSNS、HP、領事メール等をよろしくお願いいたします。何か御感想、コメント等ありましたら御遠慮なくお寄せいただければ幸いです。
皆様お身体に気をつけられてお過ごしください。
八田 善明
2 大使館からのお知らせ
○2025年11月、12月の休館日のお知らせ
11月 3日 ◎文化の日
12月25日 クリスマス
12月29日 ◎年末休暇
12月30日 ◎年末休暇
12月31日 ◎年末休暇
◎我が国の行政機関の休日
○感染症情報(リフトバレー熱、エムポックス)
現在、セネガルではリフトバレー熱、エムポックスが流行しています。現状や予防法についてこちらに掲載しておりますので、予防に努めるようお願いいたします。
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01242.html
3 領事便り
○システムメンテナンスに伴う戸籍電子証明書取得への影響について
以下の日時において戸籍情報連携関連システムの定期メンテナンスを予定しております。同メンテナンスの影響により、期間中は戸籍電子証明書の取得が不可となります。御迷惑をおかけしますが御確認をよろしくお願いいたします。
戸籍情報連携関連システムの定期メンテナンス期間
11月14日(金)9:00 ~ 11月16日(日)24:00
4 大使館の活動報告
○八田臨時代理大使によるワシントン条約MIKEプログラムに関する地域会合への出席
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01802.html
○第38回俳句コンクール作品募集開始
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01794.html
○無償資金協力プロジェクト2件に関する交換公文
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01796.html
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[在セネガル日本大使館メールマガジン]
○本メールマガジンに関する御意見・御要望は以下のメールアドレスあてに送信してください。新規配信登録の御希望もこちらまでお寄せください。
( mailmagazine-sn@dk.mofa.go.jp )
○発行:在セネガル日本大使館
Ambassade du Japon au Senegal
Boulevard Martin Luther King, Dakar, Senegal (B.P. 3140)
TEL :(+221)33.849.55.00
FAX :(+221) 33.849.55.55
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◆ 目次 ◆
1 「八田善明在セネガル大臨時代理大使挨拶」
2 「大使館からのお知らせ」
3 「領事便り」
4 「大使館の活動報告」
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1 八田善明在セネガル大臨時代理大使挨拶
在セネガル大使館で今年の3月15日から次席を務めております八田善明(はった よしあき)と申します。今回は、赤松大使不在中の代打を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
初めての方も多いと思いますので、ごく簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、平成3年に外務省に入省してから、在外公館は、専らフランス語圏に赴任して参りました。直近は、ブルキナファソ大に3年間、その前は、東京(本省=外務省)勤務を挟んで、ハイチ、カナダ(モントリオール)等となります。
セネガルは、出張も含めて今回が文字どおり初めての赴任・滞在となります。直近のブルキナファソが内陸国かつ治安状況もあまり良くなかったため、セネガル、ダカールでは広がる海の景色を含め、生活上の「開放感」が大きく改善しました。私自身は、必ずしも海派ではないものの、季節や、一日の間にも刻々と海の色が群青色、青、ミルキーなエメラルドグリーン等グラデーションを持ちながら変わっていくのを仕事の合間に見られるのは楽しく、かつありがたく感じています。
色々とある中で、今回は着任後のセットアップ期間等も含めて感じたことの一つを御紹介します。国によって商業的なお付き合いのある国は当然のことながらまちまちですが、ここセネガルではどうなっているのか、静かに見てみると、それはそれで面白そうです。フランスや欧米系は当然のことながら、やはり中国が日用品等でしっかり市場に入っているのはあまり意外ではありませんでした。このほか、インド系のプレゼンスは、かつては東アフリカのものと思っていましたら、実は西アフリカにおいても随分と広がっているのだなと改めて感じました。日用品のスーパーに始まり、高級ホテルやインフラ、宝飾、(生活面ではないですが)資源開発等までと幅は広そうです。そして、ほぼ避けて通れないのがレバノン系でしょうか。フェニキア商人のノウハウとネットワークを駆使して、日用品、スーパー等の小売りから始まって、テキスタイル、建築資材、建築業とこちらも流通と切っても切れない重要な分野に根を下ろしている感じです。着任してすぐに家庭用品を買いに何度も足繁く通った生活用品・家具のデパート等や、フランス系のおしゃれなパン屋やレストラン等のオーナーの多くはレバノン系の由です。聞けば、同人らは既に世代交代もして次のジェネレーションに移行しているとのことで、より深くセネガル経済に根ざしているということと思われます。
ほかにもトルコ系やUAE、歴史的繋がりがあるモロッコ等もあり、さらにはセネガルの食事に欠かせないパーム油の多くはマレーシアから輸入されているとのことで、その広がりは思ったより裾野が広いものでした。皆様も、日々色々と発見があるかと存じますが、ダカールだけをとっても、とても奥が深そうですので今後もどんな発見があるか楽しみにしています。
次に、少し真面目な話もしますと、前任地がブルキナファソ(ワガドゥグ)であったこともあり、所謂サヘル地域の情勢とセネガルを含めたその近隣国との関係は引き続き気になっています。サヘル地域では、大きなテロリスト組織がその影響力の拡大を進めていることは耳にされたこともあろうかと思います。このほか、地政学的な情勢も含めて政治的には複雑かつ厳しい状況(軍事政権)が続いています。マリ共和国は、アルカイダ系テロ組織の独自版である「イスラムとムスリムの守護者(JNIM)」の発祥の地で、徐々に強大になり、首都バマコの包囲網の構築、それも物流の供給路を遮断する等の戦略を展開しています。彼らは緻密に色々と計算し、戦略的に駒を進めるのでとてもやっかいです。既に、テロ組織vs違法な武装組織を取り締まる治安部隊(政権)、という単純な悪玉対善玉という構図でもなくなって久しく、状況をさらに複雑化させています。
その影響力はマリ国内だけでなく、隣国のブルキナファソやニジェール、そして南下してギニア湾岸諸国の北部を脅かしている状況となっています。御承知のとおり、マリは412Kmの国境線を共有するセネガルの隣国です。しかも、単なる隣国ではなく、海に開けたセネガルから内陸のマリへ繋ぐ幹線道路を通じて、年間数百万トンもの物資が届けられており、マリが海上輸送にて輸入する物資の8割近くがダカール港経由とも言われている等、経済社会的にはかなりの依存度になっています。最近ニュースでも見かけるバマコへの物流(燃料等)が大きく制約を受けているのが、正に、このセネガルと繋がる「大動脈」をマリ側でJNIMにより遮断されてしまった状況という、大変な事態ということがお解りいただけるかと思います。
今後を見通すのは難しいですが、このテロリストらは、引き続きバマコへの兵糧攻めも含めてバマコ=マリ軍事政権に圧力をかけ続けることが想定され、徐々に自分達の政治的立ち位置の向上を模索するのではないかとみられます。同時に、徐々にマリ国境からセネガル側へ越境浸透して影響力を拡大することも排除されないと言えます。そのため、セネガル側においても今後はさらに対策の強化等が必須になると思われます。
そうした状況を考えますと、我々としても、さすがに首都ダカールまでの影響はほとんど無いとしても、マリ国境近辺は、今後も治安状況上不安定になること、そして国境のマリ側には近くまでテロリストが進出してきていることに留意しながら十分に予防的な危機管理感覚を持って過ごす(危なきに近寄らず)必要がありそうです。マリ国境付近は、もともと海外危険情報上も勧告が発出されている地域となりますが、皆様におかれましてもくれぐれも御注意いただけますと幸いです。
長々と最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、引き続き、当館のSNS、HP、領事メール等をよろしくお願いいたします。何か御感想、コメント等ありましたら御遠慮なくお寄せいただければ幸いです。
皆様お身体に気をつけられてお過ごしください。
八田 善明
2 大使館からのお知らせ
○2025年11月、12月の休館日のお知らせ
11月 3日 ◎文化の日
12月25日 クリスマス
12月29日 ◎年末休暇
12月30日 ◎年末休暇
12月31日 ◎年末休暇
◎我が国の行政機関の休日
○感染症情報(リフトバレー熱、エムポックス)
現在、セネガルではリフトバレー熱、エムポックスが流行しています。現状や予防法についてこちらに掲載しておりますので、予防に努めるようお願いいたします。
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01242.html
3 領事便り
○システムメンテナンスに伴う戸籍電子証明書取得への影響について
以下の日時において戸籍情報連携関連システムの定期メンテナンスを予定しております。同メンテナンスの影響により、期間中は戸籍電子証明書の取得が不可となります。御迷惑をおかけしますが御確認をよろしくお願いいたします。
戸籍情報連携関連システムの定期メンテナンス期間
11月14日(金)9:00 ~ 11月16日(日)24:00
4 大使館の活動報告
○八田臨時代理大使によるワシントン条約MIKEプログラムに関する地域会合への出席
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01802.html
○第38回俳句コンクール作品募集開始
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01794.html
○無償資金協力プロジェクト2件に関する交換公文
https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01796.html
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[在セネガル日本大使館メールマガジン]
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