北原大使新年挨拶
新年明けましておめでとうございます。早いものでセネガルで迎えるお正月も三回目となりました。
皆様は何処でどのように年末年始を過ごされましたでしょうか。
昨年12月9日に日本大使公邸で催した天皇誕生日祝賀レセプションで私は次のようなことを来賓の皆様に申し上げました。
2015年は年初のシャーリー・エブド襲撃テロ事件に始まり、年末のパリ同時多発テロに至るまで世界中で暴力の連鎖が増幅、激化し、また、これに伴い民族大移動とも言える難民の波が欧州に押し寄せたという事実。片や世界の経済は未だ上向かず、停滞したままであること。我が国として戦後70年という節目の年において改めて世界の平和に対する貢献の思いを強くしたことは特筆に値するが、世界情勢全般としてはとかく明るいニュースに欠ける一年であったとも申し上げました。
そして、2016年は日本としてはG7サミットを伊勢志摩で5月に開催すること、また、夏にはアフリカの大地にてTICAD Ⅵが催されることなど前向きに捉えるべきイベントがあること、加えて期せずして我が国はセネガルと共に国連の安全保障理事会非常任理事国となることにより、セネガルと共に世界の平和構築、発展の為に働きたい、と結びました。そして、改めて民主主義社会としての成熟度、異文化の受け入れ許容度、なにより異なる宗教との共存を受け入れる寛容性、などセネガルはアフリカの中でも際立った価値観を共有できる友好国であることを再認識した次第です。
年始にあたり、2016年はどんな年になるのだろうと思いを巡らせていた矢先にサウジアラビアとイランとの関係が緊張度を増す事件が起きました。ISILを含めて中東における力関係がこれからどのように変化していくのか、国際社会・経済に大きく影響を及ぼすことは必至ですので、地域の状況をしっかりと見守りたいと思います。
ところで、昨11月13日のパリの同時多発テロをダカールのテレビ中継で暗澹たる思いで見ていたまさにその時、中国の青島に転勤している息子から私ども夫婦にとって初孫となる女の子が生まれたとの嬉しいメールが飛び込んできました。これら二つの事象のあまりのギャップに一瞬と言わず戸惑いましたが、子供達の未来のために、今、我々が使命感をもって平和構築のために働かなければならないこと、それが歴史に対する我々の責任であると深く思いました。
2016年が人類にとって少しでも良い年になりますよう。
北原 隆
天皇誕生日祝賀レセプションのスピーチ