大使挨拶

令和7年8月6日

メールマガジン2025年8月号

在セネガル日本国大使館のメルマガをお読みいただいているみなさまへ、

「雨季に入ったけど、全然雨が降らないじゃない」「まだまだ、8月になれば降るよ」と言うのがよく顔を合わせる外交団の間での挨拶になって久しいのですが、さすがに雨も降り始めましたね。そんな中で、天気が一番気になっていたのは7月後半にいくつかイベントを予定していたためです。中でも24日に行われた地雷除去機材の引き渡し式は時間こそ短かったものの、印象に残りました。(式典の詳細:https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01708.html
紛争がようやく収まったカザマンス地方の開発はセネガル現政権の最優先政策の一つで、信任状捧呈の際にもファイ大統領とこの話がでました。というか、この開発計画自体大統領自身の名前をとって「ジョマイ計画」と呼ばれ、ソンコ首相が直々に統括するなど政府全体としても力が入っています。なものですから「コマツ製の地雷除去機がダカールについたら、引き渡し式やりたいので是非出席してほしい」と以前からソンコ首相に申し上げていたら、一も二もなくOKの返事。ただ、実際はいつものように手続きに時間がかかり8月のTICADに間に合わないのではないか、とちょっと心配でしたが、船のダカール港到着前からその様子を「実況中継」していたら、ある朝いきなり「24日にやるけど大丈夫か?」と連絡を受けました。
そこから日本人会会長でもあるコマツの斉藤さんを通じていろいろお願いして実現した式典の様子はTVや新聞でも取り上げられたのでごらんいただいた方も多いかと思います。正味1時間弱でしたが、外務、国防、経済・計画・協力の3大臣も出席するなど、結構盛大な式典になりました。ソンコ首相からは「独自予算を確保して追加で同じ機材を購入したい」との発言もあり、注目しています。
 
翌25日には、JICA増田所長にも出席いただいて、前日にも会っていたサール経済・計画・協力大臣との間で2つのEN署名を行いました。(署名式の詳細:https://www.sn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01710.html
一つは以前からも行っている食糧援助に関わるものです。ただ日本での「コメ不足」を反映して今年はタイ米を提供するところが例年とちょっと違います。
もう一つはセネガルの若手行政官を日本に招いて行政能力等の強化をめざすための研修プログラムです。行政能力の強化もさることながら、「約束の期限や時間をきちんと守る」といったビジネスの基本にもつながる日本の習慣を学んできてほしい、と大臣ほか出席者に申し上げました。式の直前に10月初旬のダカール投資フォーラムへの日本からの参加に期待したい、などと話していた大臣は少し驚いた様で苦笑いしていました。
 
時系列が逆になりますが、17日にはJICAから当地に派遣されている海外協力隊(JOCV)や一部関係者の方をお招きして、公邸でレセプションを開催しました。(当日の様子:
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02KPppZt8LxhEzaBJ5tjb7zcdWTKsmKUmt11t7jARozL7TwRfAjU9GTG7qUQqqMtmYl&id=100078921276471
毎年2回、全隊員がダカールに集まる機会があるとお聞きしていましたので、お忙しい中日程を空けていただきました。以前からなんとなく思っていたのですが、改めて圧倒的に女性隊員の比率が高いのが印象的で、心配された雨も降らず、庭のあちこちで皆さん和気藹々とそれぞれの任地での苦労話などで盛り上がっていました。

ちなみにこのように公邸の庭でのレセプションを一番楽しみにしているのは、公邸に住み着いて居る猫。以前から数匹がのんびり暮らしているのですが、レセプション開始前にはどこからともなく親類縁者も集まって来るらしく、いつもより賑やかです。とはいえレセプションのおこぼれを巡る競争が激しいわけでもないのでガツガツしておらず、あまりお客様の邪魔にはなっていないようです。

それから20日には日本で参議院議員選挙がありましたので、当館でも在外選挙を実施し、ダカール以外からも多くの方に投票にお越しいただきました。なお、在外公館で投票するためにはあらかじめ在外選挙人証を取得していただく必要があるのですが、具体的手続き等については領事班までお問い合わせください。ちなみに当館で記入いただいた投票用紙は、所定の手続きに従って在外投票終了直後にパリまで運び、他の公館での投票用紙と一緒に今度はパリから出張者が日本に運ぶ事になっています。次の選挙がいつになるかはわかりませんが、次回以降も大勢の方に投票に来ていただけるよう、しっかり対応していきたいと思います。

7月とともに、急に夏休みモードに入った外交団。何名かの大使が入れ替わり、新しく着任された方々も「みんなほとんど居ないんだよね」などと言いながら、時折遊びにいらっしゃいます。彼らの関心事はもちろん信任状捧呈式のタイミング。なんでも「セネガル政府は雨季には信任状捧呈式をやらない」、といった都市伝説があるらしく、空を見上げながら心配げな様なので、それこそほとんど唯一知っているアラビア語で「インシャラー」と答えることにしています。

夏休みで一時帰国や旅行に出かけられる方も多いかと思いますがどうぞお気をつけて。
それではまた、来月お目にかかります。
 
赤松 武